ペルピニャン観光の日は、季節外れの雨に日曜日の最悪の組み合わせにより、やむなくハンバーガー屋で列車の時刻まで雨宿り。17:30発のフランス国鉄SNCFの高速列車TGVに乗るべくペルピニャン駅に行く。
夕方のペルピニャン駅、地元のヤンキーのあんちゃんたちがたむろしてタバコを吹かしたり、構内をスケートボードで走り回ったり、元気を持て余した若者のすることは万国共通のよう。
駅に着いたのは、17時過ぎ。プラットフォームには僕たちが乗車するTGVが待機済み。
少し古めかしくいかつめの顔立ち。日本の新幹線のような曲線系のボディじゃないところが異国感を漂わせる。運行速度は320kmと世界最速のスペックを誇る車両である。ただ、ペルピニャン-ナルボンヌ間は最高速度160kmと制限されているらしい。
列車は定刻通りにペルピニャン駅を出発。不快な揺れや騒音もほとんど感じることなく、わずか35分でナルボンヌに到着。車内は日本の車内のように静か、シートもとても清潔に保たれており、快適な列車の旅だった。ただ、車内では濡れたズボンや靴が車内の暖房のおかげで半乾きの状態で非常にツラかった。
18時にナルボンヌの駅に降りる。ペルピニャンよりもずっと小さい駅で改札口は一つだけ。ここナルボンヌも中心地の立地がいいホテルはバカにならない値段だったので、郊外のバシェットホテルを予約していた。小雨の降る中、半乾きの靴でなんとか歩いて行かなければならない。地図は友人が職場で印刷してきたグーグルマップの地図だけ。既に陽も落ちて真っ暗。日曜でほとんどの店が閉まっているので、駅前のメインストリートも閑散としており、余計に不安が募る。
駅のキオスクのお姉さんに聞いた話だと、駅から歩いて1時間ぐらいの距離だという。店員の人はしきりにタクシーを勧めてくるが、タクシーのドライバーがなんだか強面の人ばかり。道を聞いたお礼代わりに、マルボロを一箱購入する。海外特有のグロテスクなパッケージを見ると、余計に気が滅入る。地図を片手に、お姉さんが指した方向へなんとなく歩き出す。しばらくすると、一件だけ空いているスーパーマーケットを発見。入店してみると、店内からはアラブ系の音楽とムスリム系のお香の香が・・・。どうやら、ここはイスラム系の人が経営するスーパー。あてずっぽに歩いていたら、ムスリムの居住区に迷いこんでいた模様。店主と客から無性に睨まれるので、怖くなって足早に退散。
大通りをしばらく歩くと、地図にもある水路を見つける。地図上では、この水路を郊外の方に下って行って、高速道路沿いにあたったところが今日宿泊するホテルである。ここまで来るのに、30分ほどかかっている。不安になり、とおりすがりの人に道を聞くが、誰もホテルの名前を言ってもわからない。街のど真ん中の高級ホテルならいざ知らず、地元の人に外れの安ホテルを聞いてもわかるわけがない。地元の人は用がないのだから。フランスの人たちがみな親切で「ごめん、わからない。」と、非常に申し訳なさそな顔をされるのが逆につらくなってくる。
水路に沿ってしばらく歩くと、幹線道路にぶつかる。遠目にショッピングセンターが見えるので、ショッピングセンターの駐車場の光に向かって歩く。郊外のチェーン店が密集した通りだが、日曜ということでどこも閉店で周りは真っ暗。開けた道路で車がビュンビュンと通る中、途中から歩道がなくなったので、脇の濡れた芝生の上を歩く。靴も中までびしょ濡れに、暗い中を歩いていつもより疲れてきたせいだろうか、友人の奥さんが「ほんとうに道はあってるのか!」と怒り出す。濡れてインクが滲んできた地図を片手に必死に奥さんをなだめる友人。駅まで戻ってタクシーを使おうと、およそ1時間以上歩いてきてから、現実味のないことを言い出す自分。典型的な仲間割れ状態だった。
ああだ、こうだ、言い合いを続けながらも歩を進めるうちに、一件のマクドナルドの前まで到着。目を凝らして遠くを見ると、マックの駐車場の奥に、IBIS Budgetの青い文字がうっすら光ってるのを発見。1時間30ほど迷ってようやく本日のホテルに到着。
ペルピニャンと同じ系列のホテルで決して快適なホテルではないけれど、雨の中見ず知らずの土地を歩いてきただけあって、安心感はひときわだった。ホテルの廊下にはモクモクとマリファナのほのかに甘い煙が充満してたり、客層も悪そうだったけど、そんなことは三人ともどうでもよくてシャワーを浴びてベットの上で休憩したい、ただそれだけだった。
日曜ということで、食材の買い出しもできず、スペインから持ってきたお菓子が夕食になったけど、疲労のせいもあってか三人ともすぐに寝入ってしまったのでした。
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